2025年11月22日
会員著書案内| 著者名 | 署名 | 出版社 | 出版年 |
|---|---|---|---|
| 山本秀行・渡邊真理香(編著) | 『アメリカン・ミュージカルと文化表象』 | 小鳥遊書房 | 2025年 |
【梗概】
本書は、二部構成になっている。第一部「アメリカン・ミュージカルと文化表象の諸相」は、文化表象の諸相を視座としたアメリカン・ミュージカル論で、七章からなる。第1章「劇作法の変遷から見るアメリカン・ミュージカル史――〈統合〉と〈分離〉の往還」(辻佐保子)はアメリカン・ミュージカルの歴史を劇作法における〈統合〉と〈分離〉の往還という視点から論じている。第2章「ミュージカルにおける人種の複層的問題――『フラワー・ドラム・ソング』を中心に」(山本秀行)はミュージカルにおける人種の複層的問題を『フラワー・ドラム・ソング』のD・H・ホワンによる二〇〇二年のブロードウェイ再演を中心に論じている。第3章「治療する男と治療される女——『ネクスト・トゥ・ノーマル』のフェミニズム的視座」(渡邊真理香)は『ネクスト・トゥ・ノーマル』における精神疾患治療をフェミニズム的視座から論じている。第4章「ミュージカルでLGBTQはどのように描かれてきたか――社会的正義と時代と商業主義と」(藤田淳志)は、『カンパニー』から『ファン・ホーム』『ディア・エヴァン・ハンセン』までのミュージカル作品における性的マイノリティ表象を社会的正義、商業主義、時代背景との関係から論じている。第5章「深層心理と運動神経——ブロードウェイ・ミュージカルにおけるアグネス・デ・ミルとボブ・フォッシーの振付術」(坂井隆)は、『オクラホマ』におけるアグネス・デ・ミルと『スウィート・チャーリー』のボブ・フォッシーによる振付術によって表されるヒロインの深層心理と運動神経について論じている。第6章「『オペラ座の怪人』は本当に「凄い」のか――音楽史とプリマドンナ」(松崎博)は、『オペラ座の怪人』の中の架空オペラ三作を作品の時代設定である一九世紀終わりから二〇世紀初めの音楽史上に位置づけて論じている。第7章「今夜私はアメリカの女性になる――アダプテーション作品としての『ウエストサイド物語』」(佐藤里野)は、シェイクスピア『ロミオとジュリエット』からミュージカル『ウエストサイド物語』へのアダプテーションを詳しく検証し、アダプテーションによって生み出される力について論じている。
第二部「《アメリカン・ミュージカル》ナビゲーション」は、アメリカのブロードウェイ(またはオフ・ブロードウェイ)で上演された主要ミュージカルの四七作品について、それぞれ製作者情報、上演記録・受賞歴、作品の内容概説、鑑賞のポイント、出版・映像情報などの鑑賞・研究に役立つ情報を掲載している「ミュージカル作品ガイド」。加えて、第一部の論考に関連するものを中心とした英語文献リスト(それぞれに簡単な解説を付した)と日本語文献リストからなる「ミュージカル研究基本文献リスト」、主要ミュージカル作品のブロードウェイ初演、トニー賞などの演劇賞の授賞情報を中心に作成した「ミュージカル作品年表」も付いて、アメリカン・ミュージカルをより専門的に学びたい読者に役立つようにしている。
【目次】
はじめに―本書の狙いと構成(山本 秀行)
第1部 アメリカン・ミュージカルと文化表象の諸相
第1章 劇作法の変遷から見るアメリカン・ ミュージカル史(辻 佐保子)
第2章 ミュージカルにおける人種の複層的問題(山本 秀行)
第3章 治療する男と治療される女(渡邊 真理香)
第4章 ミュージカルでLGBTQはどのように描かれてきたか(藤田 淳志)
第5章 深層心理と運動神経(坂井 隆)
第6章 『オペラ座の怪人』は本当に「凄い」のか(松崎 博)
第7章 今夜私はアメリカの女性になる(佐藤 里野)
第2部《アメリカン・ミュージカル》ナビゲーション
ミュージカル作品ガイド
ミュージカル研究基本文献リスト
ミュージカル日本語文献リスト
年表
おわりに(山本秀行)
索引