2026年3月31日
会員著書案内| 著者名 | 書名 | 出版社 | 出版年 |
|---|---|---|---|
| 佐々木和貴編 | 『一八世紀の「シェイクスピア崇拝」——その成立と展開』 | 英宝社 | 2026 |
【梗概】
本論集はシェイクスピア協会所属のメンバー九名が、JSPS科研費基盤研究B(「「シェイクスピア崇拝」と一八世紀イングランド娯楽ビジネス」20H01242)の助成を受け、一八世紀イングランドにおけるシェイクスピア人気の爆発的な高まりについて、新たなコンテクストから検証を試みた二〇二〇年度から二三年度まで四年間の共同研究の成果である。
一七一〇年に世界最初の著作権法が発効し、出版ビジネスの環境が一新されると突如シェイクスピアの知名度が上がり、その作品が出版界でも演劇界でも抜群の販売・集客力を示すようになる。またその波及効果は出版や舞台だけにとどまらず、生誕地ストラトフォードを一大観光地に変え、「シェイクスピア記念祭」(一七六九)のような種々の文化事業、そして今日の英文学者の起源ともいえる職業人としてのシェイクスピア研究者を生み出した。従来のシェイクスピア受容史ではこの特異な現象を、劇作家シェイクスピアの天才が理解されていくプロセスとして捉え、その偶像崇拝化や国民詩人化をもっぱら文学史的に理解してきた。しかし本論集では、それがメディアの発達、テクノロジーの革新、文化事業の商品化など一八世紀イングランドの新たな社会現象と密接に関連する文化的・経済的事象であったことを指摘し、シェイクスピアとその劇作品が超優良コンテンツに作り変えられ、世界遺産的なアイコンとなっていくプロセスを検証することで、結果的に、今日の娯楽ビジネスにまで繋がる新たなシェイクスピア受容史の構築を目指したものである。
【目次】
はしがき 佐々木 和貴
プロローグ 一七世紀の「シェイクスピア崇拝」 佐々木 和貴
第一部 テクストの中のシェイクスピア崇拝
第一章 一七一〇年前夜の「無名の」シェイクスピア 川田 潤
第二章 ポウプとシアボールドの『ハムレット』をめぐって 篠崎 実
第三章 コリー・シバー作『リチャード三世』(一七〇〇)受容史
——改作の意図とシバー版が後世に与えた影響 大和 高行
第四章 ロウ版全集の口絵差し替えをめぐって 佐々木 和貴
第二部 テクストの外のシェイクスピア崇拝
第五章 ホガース作『リチャード三世としての ギャリック』とその重層的時空 桒山 智成
第六章 シェイクスピアのいる風景
——一八世紀における自然とレジャー 松田 幸子
第七章 シェイクスピア記念祭と親仏批評家としてのギャリック 岩田 美喜
第八章 「シェイクスピアの桑の木」狂騒劇の舞台裏 中野 春夫
エピローグ はぴぱ、ウィリー! 祝・詩聖降誕 吉原 ゆかり
索引