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2026年3月14日

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著者名 書名 出版社 出版年
奥畑 豊 『J・G・バラード――混沌とした世界を映すフィクション』 三修社 2026

【梗概】
 中華民国上海に生まれ、1950年代中盤の英国サイエンス・フィクション界に「ニュー・ウェーヴ」として颯爽と登場したJ・G・バラード(1930-2009)は、その50年を超えるキャリアの中でイギリス文学の由緒正しい「偉大な」伝統を意識しつつもそこに連なることを敢えて拒絶し続け、同時にSFの書き手としても自らを常に異端の座に位置づけてきた。彼はまた、ポルノグラフィ、実験文学、ファンタジー、ミステリー、ライフ・ライティングなど様々なジャンルを横断しつつ、シュルレアリスムにもモダニズムにもポストモダニズムにも完全には回収しきれない特異な作品群を世に問うてきた。
 本書はこうしたジャンルの「故国喪失者」としての側面をポジティヴな創作上のエネルギーに転換し続けてきた作家としてのバラードに着目し、その多様な作品群を歴史的背景や彼自身の伝記的事実と照らし合わせながら、時系列順に読み解いていく。なお、この本は日本初の長編の評伝であることを踏まえ、特定のテーマに基づいてバラードの作品群を一刀両断するのではなく、政治から経済、文化、芸術、思想、科学に至る様々な論点に目配りしながら彼の業績を立体的に浮かび上がらせてゆく。

【目次】
はじめに
序章
 『人生の奇跡』――数奇な生い立ち
 英語圏の先行研究の動向
 本書の位置づけと構成
第一章――「SF作家」としての出発
 最初期の仕事――ヴァーミリオン・サンズ連作とその他の短編
 長編デビュー――『狂風世界』の失敗と成果
 作風の確立――文学、視覚芸術、精神分析、生物学
 内宇宙の探求者――「時の声」と「終着の浜辺」
第二章――破滅三部作
 破滅三部作(1)――『沈んだ世界』
 破滅三部作(2)――『旱魃世界』
 破滅三部作(3)――『結晶世界』と一九六〇年代の総括
第三章――文学的実験と充実期
 新たな展開――『残虐行為展覧会』
 「濃縮小説」の実践
 一九七〇年代の短編――「最終都市」ほか
第四章――テクノロジー三部作から神話的ファンタジーへ
 テクノロジー三部作(1)――『クラッシュ』
 テクノロジー三部作(2)――『コンクリート・アイランド』
 テクノロジー三部作(3)――『ハイ・ライズ』
 さらなる新境地?――神話的ファンタジー小説『夢幻会社』
第五章――カルトからメインストリームへ
 ポストモダン的転回――『ハロー・アメリカ』
 半自伝的小説『太陽の帝国』の世界的成功
 後期の短編――「ポスト宇宙時代」の三部作ほか
第六章――試行錯誤と円熟
 読者の期待の中で――『奇跡の大河』 
 『殺す』におけるミステリー/犯罪小説への挑戦
 『女たちのやさしさ』における半生の総括
 大御所健在――『楽園への疾走』
 生前唯一の評論集
第七章――晩年四部作
 晩年四部作(1)――『コカイン・ナイト』
 晩年四部作(2)――『スーパー・カンヌ』
 晩年四部作(3)――『ミレニアム・ピープル』
 晩年四部作(4)――『キングダム・カム』
終章
 逝去と「死後の生」――未完のプロジェクトから第二評論集まで
 結びに代えて――変容する世界の中で
参考文献
文献案内
J・G・バラード主要作品一覧
あとがき
索引

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