The English Literary Society of Japan 日本英文学会

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2025年12月21日

【オープンアクセス】
https://www.bloomsburycollections.com/monograph?docid=b-9781350469334

【梗概】
　『ヘミングウェイ、エコロジー、文化』は、環境人文学をヘミングウェイ研究に統合する先駆的な試みであり、文学的言説においてしばしば見過ごされてきた非人間的存在の声を増幅させることを目的としている。本書はヘミングウェイ研究と物質的エコクリティシズムを融合させることで、ヘミングウェイの「人間性」という概念を批判的に再考し、非人間的存在の物語を包摂する文学的実践としてヘミングウェイ文学を再定位する。元素的エコクリティシズム、障害学、色彩生態学、土壌倫理、環境史、ポストヒューマニズム、エコ・ゴシック、文化生態学といった多様な枠組みを用いて、包括的な分析を提示している。
　『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』、『老人と海』、『エデンの園』、『海流の中の島々』といった長編小説、「キリマンジャロの雪」、「ビッグ・トゥー・ハーテッド・リバー」、「死の博物誌」などの短編小説、さらに『午後の死』や『アフリカの緑の丘』といったノンフィクション作品を含む、ヘミングウェイのキャノン的な著作を精読することによって、本書はヘミングウェイのテクストを重要な「生態学的力」(ecological forces)として捉え直すことを主張している。
　アメリカ文学における典型的な人間中心主義的作家人物というヘミングウェイの支配的なイメージに異議を唱えることで、本書は彼の文学的遺産に対する従来の認識を刷新することを試みた。ヘミングウェイ作品の非人間中心主義的解釈を促進することで、本書は読者に、文化的・政治的・社会的・環境的要因がいかに自らのエゴ・エコ的マイドセットの形成に影響を与えるのかを認識させ、自身の持つ「エコロジカル・アンビバレンス」を意識するように促す。最終的に、本書は読者に対し、より広範な生態学的文脈における「人間性」の概念を再考することを促し、我々の世界に生息する多様な存在に対する、より深い生態学的意識と責任感を育むものとなっている。

【目次】
Foreword
Acknowledgments
List of Abbreviations

Introduction: Rereading Hemingway in the Anthropocene

Part I: Earth
1 The “Rotten” Matter in A Farewell to Arms
2 The “Roaring” Earth in For Whom the Bell Tolls

Part II: Air
3 The Ecology of Colors in The Old Man and the Sea
4 Olfactory Ethics in For Whom the Bell Tolls and Other Works

Part III: Water
5 The Ecology of Death in “The Snows of Kilimanjaro” and “A Natural History of the Dead”
6 The Politics of Cure in The Sun Also Rises

Part IV: Fire
7 Fire Ecologies in “Big Two-Hearted River”
8 The Elephant's Eye and the Maji-Maji War in The Garden of Eden

Conclusion: Hemingway, Ecology and Culture
Notes
Bibliography
Index

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