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2025年12月19日

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著者名 署名 出版社 出版年
杉野健太郎編 『ギャツビー100年——F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』を読む』 三修社 2025年

【梗概】
 1925年4月に刊行されたF・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』は、2025年に刊行100年を迎えた。本書は、刊行100年を記念する論集である。
 現在では20世紀アメリカ文学の最高傑作小説する評価もあるこのフィッツジェラルドの第3長編小説『グレート・ギャツビー』は、1925年の刊行後しばらくの間は文学史から忘却される存在になっていた。しかし、1950年代以降の批評および研究によって1960年代までにはアメリカ文学のキャノンとなった。その後は、ナショナリズム、人種・エスニシティ、ジェンダー・セクシュアリティ、戦争などの観点から、また、精読、フェミニズム、物語学、文体論、精神分析、カルチュラル・スタディーズ、ニュー・ヒストリシズム、生成論などのさまざまな方法論によって、分析されてきた。日本での初翻訳は1957年とやや遅くなったが、その後は盛んに研究され、日本での論考は300を超える。
 本書は、9つの論考が『グレート・ギャツビー』をさまざまな観点と方法により分析する。また、冒頭で『グレート・ギャツビー』にまつわる諸事情を解説し、巻末には、『グレート・ギャツビー』の諸テクストにまつわる解説、主要資料、地図、フィッツジェラルド年譜、小説のあらすじ、研究メモなどを収録している。今後も長く読みつがれるであろう『グレート・ギャツビー』の100年目の礎となることを目指した。

【目次】
はじめに――『グレート・ギャツビー』刊行100年

『グレート・ギャツビー』と三つの経済体制
 上岡伸雄
1925 ギャッツビーの年
 宮本陽一郎
ギャツビーの乗り物再訪
 竹内康浩
ダブル・ヴィジョンの可能性――ニック・キャラウェイのナラティヴ/ジェンダー・ストラテジー
 諏訪部浩一
ギャツビーの眩い笑み――『グレート・ギャツビー』の「大きな欠陥」と親密性
 浅羽麗
『グレート・ギャツビー』におけるニックの「幼さ」と「メランコリー」
 藤生真梨藻
『グレート・ギャツビー』と戦争PTSD――なぜギャツビーは「ザ・グレート」なのか
 野間正二
ニュー・ヒューマンとしてのギャツビー――『グレート・ギャツビー』における自己と世界と生の肯定
 杉野健太郎
書き換えられたジェイ・ギャツビー――「マニュスクリプト」と『トリマルキオ』から『ギャツビー』を読む
 浅川友幸

アペンディクス
『グレート・ギャツビー』のテクスト(浅川友幸)
研究メモ(森木順子・野間正二・藤谷聖和)
エッセイ ギャツビーと私(藤谷聖和・杉野健太郎・森木順子)
巻末資料
主要登場人物/セグメンテーションとあらすじ/主要資料/ F・スコット・フィッツジェラルド年譜/地図/索引
執筆者紹介

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