2026年1月17日
会員著書案内| 著者名 | 署名 | 出版社 | 出版年 |
|---|---|---|---|
| 杉村 藍 | 『語りとヴィジュアリティ——シャーロット・ブロンテの一人称小説を読む』 | 春風社 | 2025年 |
【梗概】
シャーロット・ブロンテは、作家となる以前、画家として生計を立てる考えを抱いていた。それを裏づける証拠として、彼女が子ども時代から描いてきた膨大な量のスケッチや水彩画が残されている。一方で、架空の王国を想定して弟や妹たちと四人で始めた物語の執筆が、様々に形を変えながら彼女の成人後も長く続いていた。自分の物語に自ら挿絵を描くなど、物語と絵が結びつくこともあり、こうした初期作品における創作活動を通して、シャーロットは物語と絵画が相互に影響しあう独特の語り方を身につけていった。
少女期から長きにわたって、このように語ることと描くことが密接に絡み合う形で創作活動を続けていたことは、「小説家シャーロット・ブロンテ」を形作る上で重要な役割を果たしている。特に絵画的な要素に関しては、彼女の作家としての最も優れた資質が、描写におけるヴィジュアルな力にあると断言する批評家もいる。
「書くこと」と「描くこと」はどのように結びついていったのか。本書では、シャーロット・ブロンテの三つの一人称小説『教授』『ジェイン・エア』『ヴィレット』を対象に、物語と絵画など視覚的な要素——ヴィジュアリティ——が相互に影響しあった独特の創作方法に迫る。
【目次】
序章 語りとヴィジュアリティという視座
第1部 その生きた時代と生い立ち
第1章 一九世紀イギリスはどのような時代だったか
第2章 シャーロット・ブロンテ——その生涯
第2部 作家への道程——初期作品の世界
第3章 初期作品の始まりとその意義
第4章 初期作品における語りとヴィジュアリティ
第3部 リアリズムへの挑戦——『教授』
第5章 都合のよい真実——『教授』における科学的観察
第6章 破綻する語り——『教授』におけるクリムズワスの創造性と語りの綻び
第4部 語りとヴィジュアリティの融合——『ジェイン・エア』
第7章 語り手への道のり——ジェイン・エアの描いた軌跡
第8章 『ジェイン・エア』におけるヴィジュアリティとその効果——ビューイックの謎を解く
第5部 実人生を映した歪み——『ヴィレット』
第9章 黙した語り手——ルーシー・スノウが描く曖昧な結末
第10章 物語を紡ぐ光と影——『ヴィレット』におけるヒロインの謎
終章 ことばとイメージが織りなすもの——まとめに代えて
あとがき
使用文献一覧
索引