ELSJ Newsletter No.113 (2010 年9 月30 日)


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日本英文学会 代表者 丹治 愛

会長報告:支部体制への移行について

今年5月29日に定例の評議員会が開催されました。評議員会というのは、学会の運営に関する重要な案件について、議決機関である理事会の諮問に応じて、評議員が意見を述べるための会議で、10名の評議員に加えて、理事、監事、大学代表、大会準備委員長、前編集委員長、事務局員に参加していただき、さまざまな案件についてご意見をいただきました。

今回の会議でとくに重要な案件だったのは、支部体制への移行についてでした。会議の結果、支部体制への移行の必要性が再確認されるとともに、移行期間を設定し緩やかに支部体制への移行をめざすこと、少なくとも移行期間中は大学代表会議を、ご意見を伺う場として残すことが承認されましたので、ご報告いたします。

以下において、過去のNewsletterの記述のくりかえしとなるところも多いとは思いますが、その後の新しい動きもありますので、あらためて支部体制への移行について全体的な説明をさせていただきます。

○支部体制への移行

本部に関するかぎり、英文学会においてもっとも重要な活動は、会誌(『英文学研究』和文号、英文学、支部統合号、『大会Proceedings』、『大会資料』)の発行と、全国大会の開催です。このうち全国大会の開催は、従来、博士課程に英文科を設置している大学が責任を持って分担していくという体制で行われてきました。1年をかけて準備しなければならないその仕事を担っていただくかわりに、理事、評議員といった役員の選挙権と被選挙権は、そのような大学の代表がもつことになっておりました。

しかしこの体制を維持することはいくつかの理由で困難もしくは不可能になりました。ひとつは大学の組織再編が進み、博士課程に英文科を設置している大学がつぎつぎと英文科を縮小・廃止していくとともに、それぞれの大学における英文学会員の比率が低下し、単独で大会を開催する余裕のある大学が減少してきたことです。もうひとつは、新しい公益法人法の制定が見えてきていた2003年度に、財団法人日本英文学会の所轄官庁である文部科学省の指導が入り、一部の会員のみが選挙権と被選挙権をもつそれまでの役員選挙が否定されたことです。博士課程に英文科を設置している大学の代表(大学代表)を選ぶ選挙にかかわれるのは、一部の大学の専任教員だけでしたので(数で言えば全会員の4分の1以下)、非常勤教員、学生はもちろん、それ以外の大学の専任教員も排除されていることが問題にされました。

そのため、新しい学会運営の方法として、2004年度以降、支部体制が検討されてきました。民主的な選挙制度に基づいて支部単位で学会の役員を選んでいただくとともに、その代わりに支部持ち回りで大会開催の重い責任を担っていただく体制です。その体制をめざして、既存の北海道支部、中部支部、中国四国支部、九州支部の4支部に、新たに東北英文学会を東北支部として加え(2005年度)、さらに関東支部と関西支部をゼロから設立し、7支部体制をつくりあげました(2006年度。関東支部については2005年度に設立が提案されたときには、英文学会の支部としては設立メンバーの年齢と分野に偏りがあるのではないかという疑問を受けて、いったんペンディングにしましたが、その疑問を解消する努力をつづけていただき、1年後にその実績を慎重に検討・審議したうえで承認させていただきました)。

そのうえで、新しい公益法人法のもとで一般財団法人の申請を出すまでに(2013年11月までに手続きを終えていなければなりませんが、安全を期して2011年度には申請を出すよう文部科学省から指導されています)、まずは、公益法人法で認められる役員選挙体制を立ち上げなければならないことになりました。現在、文部科学省と折衝しながらそのための準備作業を進めています。支部を基盤とした選挙体制になりますので、当然のことながら各支部の助言をあおぎつつ、現実的で民主的な選挙制度を考えていくつもりです。

また、大会開催は、東京大学(駒場)において開催させた今年度の大会から、大会開催校と支部とが連携した、支部体制に基づく新しいものとなっています。支部全体でなるべく仕事を分担しつつ(たとえば今年度の大会ではアルバイトの募集はすべて関東支部が担当しました)、以前ほどは開催校に負担がかからない方法で、安定的に大会開催がなされていくことを願っております。

○大学代表体制から支部体制への移行期間

以上のような経緯で日本英文学会は大学代表体制から支部体制へ大きく舵を切ったわけですが、その体制の転換にはさまざまな障害がありました。したがって、ある程度の移行期間をおいて徐々にそのような転換を進めていくことになりました。

移行期間を設けるということは、2006年9月の理事会(オブザーヴァーとして各支部の支部長も参加)において決定されました。移行期間というのは、新入会員については本部と支部の両方に入ることを義務付けるものの、従来からの会員については本部と支部の両方に入ることを強制せずに、当面は従来のままの所属の形式を認め、その間に自発的に両方に入っていただけるようさまざまなかたちで働きかけていく期間ということでした。その間には、本部と支部のあいだで、あるいは7つの支部のあいだで、さまざまな制度的調整を行うことも合意されました。

また、移行期間中は、大学代表会議を、ご意見を伺う場として残すという決定もなされました。2008年度にはいったんその廃止が提案されましたが、今年度の大学代表会議では、あらためてそれを当面残すという同意を確認いたしました。大学代表が役員選挙の単位となることについては不適切であるが、意見を聞く場として残すことにはなんの問題もないという確認も、その後文部科学省からもらっています。

ただし、大学代表を、博士課程に英文科を設置している大学に限る必要はないのではないかとも思っています。大学代表を出せる大学の基準を、たとえば5名以上の会員を擁する大学と規定しなおしたうえで、新しく大学代表を出したいというお申し出があれば、それをお認めしてもいいのではないかとも考えております。大学代表の増員については全国大会前日の大学代表会議のときの会議室の確保の問題もありますので、その基準づくりについては今後、大学代表会議や評議員会や理事会などで慎重に議論していきたいと思っています。

○移行期間を置いた事情

全国に支部を設けたからには、英文学会の会員全員に即刻、本部・支部両方に入っていただくのが望ましいことは言うまでもありませんが、2006年9月の理事会・支部長合同会議の結果、そうすることなく移行期間を置くことにしたいくつかの事情について説明させていただきます。

たとえば天野理事(当時)は、中部支部は従来、英語教育に力を入れてきたし、そのような会員を募ってきたが、英語教育を専門とする方に十分な活躍の場をあたえていないように見える英文学会の現状(大部分の会員が教養課程で英語教育を担当しているにもかかわらず)を考えれば、そのような方に本部への入会を求めることは不可能であると主張なさいました。そのような方に入会していただける一定の準備をしないまま入会を強制すれば、支部会員のうち多くが支部までも辞めてしまい、支部の運営に重大な支障をきたす可能性があるともおっしゃっていました。その後、英文学会は編集委員会にも大会準備委員会にも英語教育関係の委員を加えるなど、遅ればせながら英語教育にも力を入れはじめたことは、ご承知のことかと思います。

また、逆に、従来の本部会員のなかには、いまさら支部会費を支払ってまで新しくできた支部に入るつもりはない、いままでも条件で学会活動を継続したいというお考えの方もたくさんいらっしゃるだろうと判断しました。そのような方に、支部体制の意義をお伝えしていくにはそれなりの時間が必要だろうということにもなりました。

さらに、支部にはそれぞれの事情があることも判明しました。たとえば中国四国支部には、それまで支部が存在していなかった関西からの会員が多かったという事情もありました。(このため、関西支部に入りながらも中国四国支部にそのまま残ることができるよう、複数支部への所属を容認する決定がなされました)。東北支部には、東北英文学会という独立した学会が存在したため、それが日本英文学会東北支部になることにたいする抵抗感もありました(このため、日本英文学会東北支部という名称のほか、東北英文学会という名称も残すことを容認する決定がなされました)。さらには、支部にはそれぞれ伝統があり、独自の活動を展開してきているので、これまでの活動をそのまま継続できるという保証を求めたいという要望も、複数の支部から寄せられました。(そのため、各支部が独自に支部会費を設定できるようにしました)。それぞれの伝統をもった支部それぞれの事情に配慮しながら、統一的な支部体制をつくりあげていくためには、時間だけではなく努力が必要だろうということになりました。

○移行期間の終了と支部体制の完成へ

そのような努力の一環として、『大会Proceedings』と『支部統合号』の発刊があります。当時は、本部が大きな財政問題を抱え、支出を削減しなければならない状況にありながら、あえて支出をともなう新たな企画を決断したのは、本部と支部の両方で会員であることのメリットを増大させていくことによって、より多くの会員に、強制的にではなく自発的に本部・支部会員になっていただきたいと考えたからでした。また、各支部がばらばらに刊行していた支部会誌を『支部統合号』として一冊にまとめることにしたのは、印刷費の圧縮によって支部会費の値下げをめざし、そのことによって支部への入会を少しでも容易にするためでした。

そのようなかたちで新しい企画をはじめながら、他方でその他の支出を大幅に圧縮し、2004年度までの単年度大幅赤字を黒字に転換させました。学会HPに掲載されている財務諸表の一般会計の項を見ると、2005年度410万、2006年度670万、2007年度350万、2008年度190万、とそれぞれ苦論じになっています。事務所の引越しで大きな臨時支出があった2008年度をのぞけば、これは本部会費を1,000円から2,000円程度圧縮できる金額です。と同時に支部のほうでも、印刷費について本部から100万円の援助を受けながら発刊されている『支部統合号』の刊行によって、支部会費をそれぞれ1,000円程度圧縮できるようになりつつありますし、実際、すでに会費の値下げに踏み切った支部もあります。

現理事会としては、2006年度の理事会が策定した以上のような方向を受け継ぎ、本部会費と支部会費の合計を10,000円以下(学生会員7,000円以下)にすることをめざし、そのような努力を見ていただくことによって、従来からの会員のうちの、より多くの方々に本部と支部の両方に自発的に入っていただけるよう、お願いしつづけたいと考えています。そのような強制的でないかたちで支部体制の完成をめざしたいと考えております。それまでは当面、3種類の所属の形態――本部・支部会員、本部のみ会員、支部のみ会員――が並存する中途半端な移行期間がつづき、複雑で釈然としない印象をお持ちの方もおられるかもしれませんが、しばらくのご容赦をお願いできれば幸いです。

いま「当面」と書きましたが、わたしは個人的には、移行期間を終了させ、強制的に本部と支部の両方に入っていただく時期を、本部会員の8割が支部にも所属する状態になったときと考えております。現在は残念ながら5割と6割のあいだくらいです(全支部の名簿を統合するところまではいまだいあっていないため確定的な数字は把握できておりません)。移行期間は、できるだけ短いほうがいいのは当然です。会員各位のご理解とご協力を、この場を借りて、あらためてお願いさせていただきます。

移行期間終了時期のもうひとつの可能性として、一般財団法人申請後に行われる第一回目の役員選挙の時(3年後)ということもありうると思います。3種類の所属形態が残ったままであっても申請が可能であることは文部科学省に確認しましたが、全員に平等に一票の選挙権と一回の被選挙権を保証するとなると、かなり複雑な選挙制度にならざるをえないでしょう。

しかし、現在の支部を任意団体とし、その代わりに実体的活動のない選挙用だけの支部をつくるとなると、学会所属の問題は簡単になりますが、英文学会の関係のない任意団体に大会開催の重い義務を押しつけることになります。現在の支部の少なくとも一部はそのようなかたちで大会開催を引き受けることに否定的な姿勢を示しています。それも当然でしょう。現在の支部に全国大会開催の責任をお願いしておきながら、その前提条件をあとになって勝手に変更することは理事会としてすべきではないと考えております。

となると、結局はふたつの選択肢が残ることになります。所属の複雑さを解消するために、3年後を目途に本部・支部の両方に所属することを従来からの会員にも義務化するか。それとも、本部会員の8割が支部にも所属するようになるまで、なおしばらくは複雑さに耐えて、移行期間をつづけるのか。8割という達成目標が3年以内に実現できれば、この二者択一は消滅しますが、そうなっていない場合(そうなるよう今後2年間最大限の努力をしたいと思いますが)、わたしとしては後者を選びたいと思います。しかし、それを最終的に決定するのは、複雑な事務作業に耐えなければならない各支部だろうと思います。各支部と十分な意見交換をしながら、一般財団法人の申請までに慎重な決定をし、その決定にそって一般財団法人化にむけた新しい学会規約(会員規定、役員選挙規定、会計規定など)を策定していきたいと考えております。

2009年度と2010年度の2年間の任期の中で、英文学会の再編にむけて会長として微力を尽くす所存です。会員各位のご理解とご協力、そしてなによりもご寛恕を心よりお願いするしだいです。


理事会議事録から

前回のニューズレター以後、2回の理事会(3月28日、5月29日)および評議員会(3月28日、5月29日)が開催されました。主要な議題は以下のとおりです。詳しくは本ニューズレターの会長報告ならびに学会ホームページをご参照ください。

  1. 2009年度事業計画を承認。
  2. 2009年度予算書を承認。
  3. 役員(理事、評議員)の交代を承認。(理事7名、評議員10名、監事2名。選出経過につきましては前号ニューズレターをご覧ください。)
  4. 2008年度事業報告を承認。
  5. 2008年度収支計算書を承認。(「2008年度会計報告」をご覧ください。)
  6. 2010年度第82回大会(5月29日、30日)を神戸大学国際文化学部キャンパスにて開催する件を承認。

役員・委員の交代

◎ 大会準備委員会

本年6月21日をもって、斉藤兆史、石橋直樹、舌津智之、原田範行、保坂道雄、武藤浩史6氏が任期満了により退任。後任に、遠藤不比人(成蹊大学)、大河内昌(東北大学)、大沢ふよう(法政大学)、奥総一朗(関東学院大学)、武田将明(法政大学)、富山英俊(明治学院大学)の6氏が選出されました(任期は各委員とも3年)。委員長は服部典之氏、副委員長は箭川修氏です。

◎ 編集委員会

新年度第1回編集委員会が、5月29日(金)に開かれ、新委員長に太田信良氏、副委員長に高橋勤、都築雅子の両氏が選ばれました。任期は1年です。


大会準備委員会からのお知らせ

◎ 第81回全国大会の『大会Proceedings』発行 第78回大会から刊行がはじまった『大会Proceedings』を、今回も無事発行することができました。研究発表53件中44件(83%)、シンポジア発表49件中35件(71%)、102件中79件(77%)の論文をお寄せいただきました。過去最高の掲載数になりました。ご寄稿ありがとうございました。なお、『大会Proceedings』に掲載される論文は、大会発表の長めの要約という性格のものですので、それに大幅に加筆して、別稿として『英文学研究』に投稿したりもしくは新人賞に応募したりすることは認められています。

◎ 第81回全国大会で発表された方へ

ご発表ありがとうございました。研究発表およびシンポジアのいずれについても、参加者の方々から多くのご好評をいただきました。ハンドアウト等の資料が不足した部屋・部門においては、今からでもほしいという声があるようです。著作権等の問題がない場合には、今年度も学会ホームページにおいて掲載させていただきたく思っております。すでに送っていただいた方のものは、掲載されております。これからでも掲載してくださる発表者の方はぜひ事務局に原稿をお送りください。電子ファイル(etaikai address)でも、ハードコピーでも結構です。どうぞご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

◎ 第82回全国大会の開催日・開催校等

時 2010年5月29日(土)、30日(日)
所 神戸大学国際文化学部(神戸市灘区)
開催校委員 米本弘一、石塚裕子、加藤雅之、島津厚久、西谷拓哉、野谷啓二、菱川英一、松家理恵、水口志乃扶、山本秀行の各氏
神戸大学の先生方には大変なお仕事をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。また全国大会担当支部である関西支部にも心より御礼申し上げます。理事会としても大会準備委員会としても事務局としても、できるかぎりのバックアップを心がけたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◎ 第82回大会のシンポジアのタイトル等の内定

第82回全国大会で行われるシンポジアのタイトルの企画が下記のように内定しました。[敬称略。タイトルは変更される可能性があります。]第1〜6部門は大会第1日(5月29日)、第7〜12部門は第2日(同30日)にそれぞれ開催されます。

第1部門「初期近代イギリス文学とエロス」
司会・講師 吉田直希(小樽商科大学・教授)
講師 圓月勝博(同志社大学・教授)
講師 福士 航(北見工業大学・准教授)
講師 由井哲哉(フェリス女学院大学・教授)

第2部門「Genealogies of Romanticism: Subjectivity, History, Genre」
司会 Stephen H. Clark(東京大学・客員教授)
講師 David Chandler(同志社大学・准教授)
講師 小川公代(上智大学・准教授)
講師 大石和欣(名古屋大学・准教授)
講師 David M. Vallins(広島大学・教授)

第3部門「ヴィクトリア朝の自伝を読む」
司会・講師 向井秀忠(フェリス女学院大学・教授)
講師 佐々木徹(京都大学・教授)
講師 谷田恵司(東京家政大学・教授)
講師 永富友海(上智大学・准教授)

第4部門「1950年代英文学を歴史化する―帝国・モダニズムの遺産、そして階級・文化・メディア」
司会・講師 河野真太郎(一橋大学・専任講師)
講師 大貫隆史(釧路公立大学・准教授)
講師 佐藤元状(慶應義塾大学・准教授)
講師 秦 邦生(津田塾大学・専任講師)

第5部門「中英語作品グロッサリーの作成に向けて」
司会・講師 谷 明信(兵庫教育大学・准教授)
講師 坂東洋子(兵庫県立星陵高等学校・教諭)
講師 近藤未奈(大阪学院大学・非常勤講師)
講師 尾崎久男(大阪大学・准教授)

第6部門「文法理論を英語教育に活用する」
司会 藤田耕司(京都大学・教授)
講師 谷口一美(大阪教育大学・准教授)
講師 児玉一宏(京都教育大学・准教授)
講師 松本マスミ(大阪教育大学・教授)

第7部門「Noisy Blackness―近代文学のイマジネーションとアフリカ的基底」
司会・講師 新田啓子(立教大学・准教授)
講師 西谷拓哉(神戸大学・准教授)
講師 中井亜左子(一橋大学・教授)
講師 三井 徹(金沢大学・名誉教授・音楽学)

第8部門「Ezra Pound以降(仮題)」
司会・講師 江田孝臣(早稲田大学・教授)
講師 三宅昭良(首都大学東京・准教授)
講師 山内功一郎(静岡大学・准教授)
講師 和田忠彦(東京外国語大学・教授・イタリア文学

第9部門「ポーとアメリカ文学―ポスト生誕200年の光芒」
司会 伊藤詔子(松山大学・教授)
講師 丹羽隆明(関西外国語大学・教授)
講師 野口啓子(津田塾大学・教授)
講師 高野泰誌(九州大学・准教授)
講師 平石貴樹(東京大学・教授)

第10部門「Beowulfと日本人の研究」
司会 渡辺秀樹(大阪大学・教授)
講師 鈴木誠一(関西外国語大学・教授)
講師 小倉美知子(千葉大学・教授)
講師 春田節子(白百合女子大学・教授)
講師 刈部恒徳(新潟大学・名誉教授)

第11部門(未定)

第12部門「大学英語教育改革を検証する」
司会 寺西雅之(兵庫県立大学・准教授)
講師 田地野彰(京都大学・教授)
講師 島田雅晴(筑波大学・准教授)
講師 田近裕子(津田塾大学・教授)

◎ 第82回全国大会特別シンポジウムの決定

大会2日目(5月30日)の午後には、特別講演か特別シンポジアムが行われることになっていますが、来年度は後者のかたちになります。司会兼講師は太田信良氏(東京学芸大学教授)、講師は草光俊雄氏(放送大学教授)、越智博美氏(一橋大学教授)です。お三方のご専門は、それぞれイギリス文学・文化、イギリス経済史・文化史、アメリカ文学・文化ですが、そのような多彩な講師陣にひとつの主題を具体的に追究していただくことで、特別シンポジアムにふさわしい大きな問題も見えてくるのではないか、英米文学研究・文化研究への批判的問いも浮かびあがってくるのではないかと期待しています。タイトルなどの詳細は『大会プログラム』までお待ちください。乞うご期待です。

◎ 第82回全国大会招待発表

第81回全国大会に引き続き第82回全国大会においても招待発表を行う予定です。発表者については現在のところ審議および交渉を進めています。決定した招待発表については、学会ホームページ上においてお知らせいたしますので、ご確認ください。

第82回全国大会研究発表の募集

第82回全国大会の研究発表を募集しております。応募の規定および方法については、学会のホームページ(http://www.elsj.org)上でご確認のうえ、ふるってご応募ください。また、前回からウェブ上のフォーマットを利用して、ウェブから直接応募することが可能になりましたので、どうぞご利用ください。応募の締め切りは11月1日(必着)です。

◎ 大会開催校下見

去る6月27日(土)に、服部大会準備委員長と山田大会準備担当書記が神戸大学国際文化学部にお邪魔して、第82回大会会場の視察をさせていただきました。米本弘一教授に、使用予定の建物や教室に実際に案内していただきながら、設備等の説明をしていただきました。また大学建物の改修工事が終わった9月4日には、玉井関西支部長、新野関西支部事務局長、および本部から原田事務局長、山田大会準備担当書記で再度、会場を訪問し、準備の進捗状況を確認いたしました。懇親会も神戸大学のキャンパス内で開催できる運びです。神戸大学および関西支部の方々、大会準備に関して多大なお力添えをいただくことになりますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

◎ シンポジウムのテーマ・企画

第82回大会(2010年度)については本年5月末日をもって締め切りましたが、第83回大会(2011年度)のシンポジアムのテーマ・企画について具体的なご意見・ご提案を募集中です。ご意見・ご提案を事務局(etaikai address)までお寄せください。ただし、最終決定は大会準備委員会の審議にもとづいて行われます。


編集委員会からのお知らせ

◎ 投稿状況

『英文学研究』は、和文号(12月刊行)、英文号(3月刊行)の年各一冊という刊行形態となっており、それに応じて、英文号は前年の9月1日、和文号はその年の4月1日にそれぞれ投稿締切りが設定されております。本年4月1日締切りの和文号には13本の投稿論文が寄せられました。今後も多数の投稿があることを願っております。

◎ 投稿・応募規定の変更

第30回の新人賞から応募を会員に限定させていただきましたが、第31回の新人賞からはさらに、応募規定に「応募前から会費が納入済みであること」の一文を付け加えさせていただきました。なお、投稿・応募規定の詳細については学会ホームページをご覧ください。

◎ 第32回新人賞応募状況

第32回新人賞論文の応募受付は、去る4月30日をもって締切りとなりました。応募論文総数は、9篇(英文学6篇、米文学3篇、英語学0篇)でした。応募者には心より感謝申し上げます。

このうち1次選考を通過した論文は、1篇(英文学)で、引き続き、厳正な審査を行いましたが、最終選考の結果、今年度は残念ながら、新人賞および佳作とも、該当論文なしということに決定いたしました。審査結果の詳細につきましては、『英文学研究』和文号第86巻に掲載されます。

◎ 名前の英文表記と謝辞の表記の仕方

編集委員会では、『英文学研究』の和文・英文号における執筆者名の英文表記が不統一であったことについて見直しを図り、原則として、姓と名の順は執筆者の出身国において慣例とされる順に従い、姓は大文字に、名は最初の1文字のみを大文字とし2文字以降を小文字とする表記方法(例:野口英世 NOGUCHI Hideyo、樋口一葉 HIGUCHI Ichiyo、福沢諭吉 FUKUZAWA Yukichi)に2007年和文号から従っています。ただし、執筆者本人から特に申し出があった場合は、そのかぎりではありません。

また、謝辞の表記についても、2008年和文号より、脚注の冒頭に無印で入れる形式に統一することになりました。


2008年度会計報告(2008年4月1日から2009年3月31日)

[収支計算書総括表、一般会計収支計算書を掲載。その他の財務諸表とあわせて、情報公開財務諸表のページにて公開しています。]


事務局からのお願い・ご報告

◎ 今年の大会について

5月30日(土)・31日(日)に東京大学駒場キャンパスにて開催された第81回全国大会につきましては、新型インフルエンザの流行によって開催そのものもが危ぶまれ、また懇親会をやむなく中止するという事態になりましたが、それにもかかわらず、両日を合わせたのべ来場者数は1,500名を越え、研究発表、シンポジア、特別シンポジウムのいずれにおきましても、活発な議論が展開され、盛会のうちに終了いたしました。研究発表・シンポジア関係者、特別シンポジウム関係者の皆様、書籍展示に参加された協賛会員の皆様、大会畝胃を担われた東京大学の教職員・学生の皆様、日本英文学会支部としてはじめて全国大会を支部として支えてくださった関東支部の皆様、そして会場まで足をお運びくださったすべての方々に、厚く御礼申し上げます。懇親会中止は誠に残念なことではありましたが、会長の判断に従って各支部でもホームページ等で迅速に周知いただきました結果、懇親会費の返金など大きな混乱もなく進めることができました。重ねて御礼申し上げます。

◎ ご入会・ご退会について

手続きにつきましては学会ホームページにて詳しくお知らせしておりますのでそちらをご覧ください。以下、会員のなかに誤解があるかもしれないことについて、注意点を2点のみ述べさせていただきます。支部体制への移行期にあるため、ご不便をお掛けいたしますが、何とぞ、ご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

○ 所属すべき支部

新規ご入会に際しては、本部へのご入会とあわせて地方支部へもご所属いただくこととなっております。(ただし、現在までのところ、関西支部だけは義務化されていません)。したがって、関西支部の場合をのぞけば、本部だけへのご入会、支部だけへのご入会は認められておりません。

以上の規定は、関東支部の場合は2006年度から、中部支部、中国四国支部、九州支部の場合は2007年度から、北海道支部、東北支部の場合は2009年度から実施されています(これに関する会員規約の改定は、関東支部の場合は2006年度の理事会でなされていますが、他の5支部については関東支部の規定を準用するかたちで運用してきています。この9月の理事会では、それを明記する方向で会員規約を改定する予定になっています)。この規定の実施以前から本部のみに属していた会員、支部のみに属していた会員については、当面のあいだ、そのままの所属の形態も容認されることになっています(その経緯についてはこのNewsletterの会長報告の項をご覧ください)。しかし、理事会としては、本部と支部の両方に所属していただくことをお願いしております。

所属することになる支部は、専任として所属する研究機関の所在地によって、専任として所属する研究機関をもたない場合は居住地によって、自動的に決まります。また、学生会員の場合は、所属する大学の所在地によって決まります。自由に支部を選択できるということにはなっておりませんので、転勤などで地域が変わる方は事務局への届け出をよろしくお願い申しあげます。海外在住の方については、事務局にご相談ください。

なお、上記のように自動的に決まる支部に所属しているかぎりにおいて、それ以外の支部にひとつないしそれ以上所属することも認められています(ただし、本来の支部以外の支部においては選挙権および被選挙権をもつことはできません)。その場合は、所属する全支部の支部会費を支払うことになります。

○ 本部のみの退会、支部のみの退会

前号のニューズレターでもご案内しましたとおり、本部と支部の両方に所属しておられる会員が、本部のみ、あるいは支部のみを退会することはできません。以前に本部のみに所属していたか、支部のみに所属していた会員であったとしても、いったん本部と支部の両方に所属していただいた以上は、この規定が適用されますので、ご注意ください。

◎ 学会刊行物の電子化とご同意のお願い

本学会では、かねてより定期学術刊行物の電子化の必要性を考慮し、その是非や方法について、検討を重ねてまいりました。特に昨年は、柳前編集委員長のもと、編集委員会で討議がなされました。理事会ではこれをうけ、国立情報学研究所による学術刊行物の電子化に加わる予定で、その細部(特に、刊行物の発行から電子化までの期間の設定など)を詰めております。

言うまでもなく、刊行物を電子ジャーナル化することによって、発表論文の参照・活用が会員のみならず広く一般社会においてより簡便になり、研究成果の公表が有効な形で進むというメリットがあります。これは、本学会の学術的活動にとってもきわめて有益です。(現在でも、個別論文についての入手方法の問い合わせが事務局には多数寄せられております。)また、電子ジャーナルかすることにより、冊子体の刊行物の保存を最小限に抑えることもできます。

ただ、電子ジャーナル化することにより、会員であることのメリットが低減することも考えられますので、慎重を期したいと思います。また、論文・書評執筆者の方々には、この電子化にご同意をいただく必要があります。これまで『英文学研究』(英文号、和文号)にご論文、ご書評を掲載された方々におかれましては、どうかこの電子化にご同意くださいますよう、お願い申し上げます。なお、ご同意いただけない場合には、2010年3月末までに事務局までお知らせいただきたく、お願い申し上げます。なお、この兼につきましては、学会ホームページでもご案内し、皆様のご同意をお願いしております。

◎ 会費納入と刊行物発送について

会費を滞納しても、ただちに会員資格を失うことにはなりません。退会届を出さないかぎりは、会費の納入がなくても、2年間は引き続き刊行物をお送りいたしております。このNewsletterを御覧いただいている皆様のうち、2年度分の会費振込用紙が同封されていた方々は、会費滞納が2年目になっておられます。その方々が今年度中に2年度分の会費を支払わなかった場合には、2010年3月末をもって会員資格を喪失し、未納分は債務として請求されることになりますので、ご注意ください。なお、ご自身の会費の納入状況が不確かな場合には、ぜひ一度、事務局まで、電話・ファックス・メールなどにてご確認くださいますようお願いいたします(重複して会費が支払われると、払い戻しなどに余分な手数料がかかってしまいます)。

また、会費納入忘れを避けるためにも、「郵便局自動払い込みによる会費引き落とし」のご利用を、事務局では強くお勧めいたしております。ゆうちょ銀行に口座を開設する必要がありますが、学会年会費納入のためだけでも、開設していただく価値はあるかと考えております。手続きは事務局からお送りする書類に記入して、ご返送いただくだけで済みます。領収書も、ご請求があれば、学会より発行いたします。自動払い込みを停止する場合も、電話やメール一本で済みます。この機会に、ぜひともご検討ください。

◎ 学会ウェブサイトの運営について

学会ウェブサイトの管理は、4月より松村伸一氏から大野晃由氏に引き継ぎました。ご意見・ご要望等がございましたら、ご遠慮なくお寄せください。

また、諸学会・研究会・講演会等の案内や教員公募の情報など、ウェブサイトへの掲載を希望される情報がございましたら、お気軽にwebmaster-addressまでご連絡ください。情報をお待ちしております。

◎ 支部統合号の刊行について

年末には『英文学研究』支部統合号第2号の刊行が予定されています。今回は、第1号の関東、中部、中国四国、九州の4支部に加えて、北海道、東北の2支部が加わります。すでに各支部では論文審査等が順調に進められておりますが、各支部が有するそれぞれの刊行物の歴史や特徴を大切にしながら、今後さらに、各支部と本部事務局が密接に連絡を取り合い、よりよい支部統合号をめざしてまいりたいと考えております。ご意見やご要望などございましたら、どうぞお知らせください。

支部統合号は、上記6支部の支部会員全員に配送されます。11月中頃までに各支部にご入会いただければ、発送に間に合いますので、支部未入会の皆様には、支部入会をご検討いただきたくお願いいたします。

なお、上記6支部に所属していない会員で、支部統合号の購読を希望される場合には、本部事務局にお申し込みください。支部統合号は価格を3,000円に設定させていただいておりますが、本部に所属されている方には1,000円(郵送料込み)で提供させていただきます。

◎ 次回のNewsletterについて

次号のNewsletterは、2010年3月中旬刊行予定の『大会資料』巻末に掲載されます。なお、それまでの間に公開すべき情報は、随時学会ホームページにて告知します。

その他

本年5月末をもって、前任の松村伸一事務局長、薩摩竜郎事務局長補佐、大石和欣退会準備担当書記、秦邦生編集担当書記が退任されました。公益法人改革による支部体制への移行の最初の時期に事務局の運営にあたられたことになります。そのうえ、昨年は、事務局の移転もありました。諸氏のご尽力に心より敬意を表するとともに、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

この交代に先立って、4月より、阿部公彦(事務局長補佐)、山田雄三(退会準備担当書記)、志渡岡理恵(編集担当書記)の諸氏が事務局に入り、私を含めて4名で本年度の事務局運営に携わることになりました。任期は来年度の大会が終わる5月末までの14ヶ月です。全員、事務局は初めてで、出身大学も異なります。しかも山田さんは、関西から本部事務局に加わっていただきました。こうした多様性が新しい事務局の活力になればいいと思います。3名の事務局職員の方々にも支えていただきながら、力を合わせてまいりたいと考えておりますので、至らない点が多々あるかと思いますが、会員の皆様にはどうぞよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。

新事務局は、引き継ぎ早々、監督官庁である文部科学省による3年ごとの定例実地検査などに対応することになり、今後の学会の制度や運営のあり方について多くのことを学びました。学会の今後の方向性につきましては、本Newsletterにあります丹治愛会長の会長報告をお読みいただければ幸いです。事務局では、実に準備を進めるとともに、学会が、従来にもまして有意義な学術交流の場として機能するよう裏方として努力していく所存です。会員の皆さまからのご意見やご要望を大切にしたいと考えておりますので、どうぞお気軽に事務局まで皆様の声をお寄せください。

日本英文学会事務局
原田範行、阿部公彦、山田雄三、志渡岡理恵


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